allcinema ONLINE オールシネマ 映画&DVDデータベース
検索オプション

 
 
  コメント題 投稿者 投稿日
ブラインドネス」に対してのコメント
  秩序崩壊 幸村和 2010-08-09
  【ネタバレ注意】
目が見えることが前提で成り立っていた社会ゆえに、人類が盲目になるや急速に社会崩壊が起きるのがなかなか面白いと思いました。宇宙人襲来やら、自然災害やら、隕石衝突やら派手な演出で社会が崩壊する映画はゴマンとありますが、そういうドッカンドッカンはまったくないのに、ここまで崩壊するっていうのが興味深い。 既に指摘がありますが、私もこの映画を見ながら「ドッグヴィル」「マンダレイ」を思い出し、それよりもこちらはもっと剥き出しの人間を描いているとも思いました。目が見えなくなったことで人種を含む外見がほとんど関係のないことになってしまった分、原始的な部分が露わになったのかもしれません。 寓話的というのはその通りですが、ただやはり収容所がいきなり粗末で酷い扱いだったのは違和感を覚えます。まだ病気発症者が急速とはいえ初期段階で発症の解明途中、回復の可能性の有無についてわからないという状態で、それなりの社会的地位を持った人間もいるにも関わらず、もし治ったら人権侵害として訴えられ大問題になるようなレベルの収容所に発症者だけ放り込む、ってのはその先の混乱から自治、そして支配社会へ至る過程を早く持っていこうとするための作為=作り手の都合が見えてしまっていただけません。その時点でその先の惨状が予測できてしまうのは拙いと思います。 最初から人権を無視したような施設でそれゆえに直後にすさまじい惨状を呈すよりも、最初は観る側もそれなりに納得のできる隔離施設だったのが徐々に荒んでいく方が秩序の崩壊にインパクトを持たせられたと思うのですが。 とはいっても閉鎖された施設の中で、武器という力を得た人間が力を持たない者、弱い者を蹂躙していく様はえげつないの一言ですし、失明してもなお目が見えていた時の価値観で金目の物を漁る姿は滑稽ですらあり、その描写はまさに寓話的。そして施設の外の食べ物の奪い合いもゾンビより怖い。やっぱり一番怖いのは生身の人間だと強烈に思います。高度な文明社会を築いていたはずの人間がとたんに文明が起きる以前の原始的な状態になってしまう様子は、人間の脆さや、人間なんて所詮この程度という皮肉、警告など感じられ、示唆に富んでいます。ラストがまたいい。この先いくつも直面するであろう問題に対する想像が膨らみます。 例えば、崩壊した街の惨状を見て人々はどう思うか、あるいは見えるようになって喜んだあとに襲われるであろう見えないときの自分がとった行動に対する羞恥心、罪悪感はいかばかりか。むしろ見えないままでいた方が気が楽だったかもしれない光景を目の当たりにし、人々はどうするか。人種を超えた共同体ができつつあったのが姿形が見えるようになってどうなるのか。この先にあるのは希望か絶望か。人間次第でしょうね。終わったあとウウムと考えてしまいました。
  
 

 
 



【スポンサーリンク】



allcinema SELECTION

allcinema SELECTION