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告白」に対してのコメント
  キレイごとはもうたくさん 幸村和 2010-12-10
 
下妻、嫌われ松子、パコの監督が、あの悪意に満ち満ちた小説「告白」をどう映像化するのか!?それが一番の鑑賞理由で観ました。感想はと言うと巧く作ったなあという感じ。既にストーリーを知っているので、先はどうなるかもわかっているけれどもほとんど飽きずに最後まで鑑賞できました。 特に私にとって印象的だったのは、新学期に入ってからの教室の生徒たち。先生の告白を聞いて、クラス全体が不穏な空気に満ちているのに、なぜか教室は狂騒の様相を呈する。人間は予想を超える不安や恐怖にさらされると突然泣いたり笑ったりして、それが集団で起きる現象を「マスヒステリシス」というそうだ。江戸時代のええじゃないかもその現象の一つらしい。中島監督がそれを知っていたのかどうか分からないが、あの狂騒、ハイテンションはまさにマスヒステリシス。学校(教室)という閉鎖された空間にある集団のテンションが不安をベースに異様に上昇していく内面を、中島監督らしい映像で見せてくれました。映画が原作を超える、と思うのはこういう表現の力を見た時ですね。 一方、今回はスローモーションの多用が私にはちょっとダレそうになりました。テンポの良いシーンから一転して挿入されるスローモーションという、スローモーションがアクセントになる効果的な使い方はこれまでの中島作品で見られたと思うのですが、残念ながら本作ではちょっとそれを使いすぎ、あるいは頼り過ぎ?と感じました。そこが残念な点です。 この映画は、例えば「命はみんなひとしく尊いのか?」とか、そういう「イエス」というと学校の先生が喜びそうな問いかけに対し、嘲笑で答えるような、あるいはツバを吐くような、あるいは茶化すような、とことんキレイごとを拒否するような印象を原作以上に強く受けました。 ラストの松たか子の捨て台詞なんかまさにその象徴。確かに彼女は正義をかざしたような言葉を少年に言いましたが、それは正義でも何でもなくただの報復ですからね。そりゃ、茶化しにしないとおさまりつかない。そんな茶化しは、快か不快かと言うと不快でしょう。 でも、確かに世界は全然平等じゃない、命が等しく扱われているとは到底思えない(被害者と加害者の命が等しく扱われているとは思えないように)、なのにキレイごとばかり言っていることに我慢ならない人には、この映画はその嘘を暴きたて、そんな世界に憎悪でもって何もそこまでというほど報復してくれます。でその悪意を浴びた後で、でもやっぱりそれはないだろう、って思う人は思うんでしょうね。アッパー系ガス抜き(=エンタメ)がハリウッド映画なら、こちらはダウナー系ガス抜き映画とでも言っておきましょうか。
  
 

 
 



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