allcinema ONLINE オールシネマ 映画&DVDデータベース
検索オプション

 
 
  コメント題 投稿者 投稿日
英国王のスピーチ」に対してのコメント
  手堅く良作 幸村和 2011-09-15
  【ネタバレ注意】
予告編ですでに感動の予感が漂っていたので、期待に胸膨らませ鑑賞しました。感想はと言うと、感動の大波に飲まれたというよりは手堅く良い作品、という印象でしょうか。 私としては引き込まれたのは、ライオネルとバーティことジョージ6世が心を通わせるシーンよりも、どちらかというとジョージ6世の苦悩のほうだったりしました。 何度となくあったジョージ6世のスピーチ・シーンでは、さすがにコリン・ファースが素晴らしい演技をしていて、スピーチでつっかえると聴衆の視線が突き刺さり、目がゆらゆら泳ぎ、呼吸が浅くなり、顔はこわばり、うまく言おうとすればするほど息苦しく、次の言葉が言葉が出ない、助けて、とまるで心の叫びまで聞こえそうな、観ているこちらまでジョージ6世の緊張が伝わって一緒に緊張してくるほど。 幼少時の矯正や、帝王教育と言う名の父王たちの威圧に怯えた子ども時代、大人になってからも真面目で誠実であるがゆえに、王室の者として相応の振る舞いをしなければとますますのしかかるプレッシャー。そのプレッシャーたるや、平民には想像もできない重さです。このジョージ6世と言う人は、本当に真面目で、善き王にならなければ、と思っていたんだな、と映画を観て彼の誠実な人柄に好感を抱いたりも。そしてライオネルに出会うまで、ジョージ6世はそれらのトラウマとプレッシャーに、孤独に戦ってきたんだなあと考えると、なんとも切なくなるし、だからこそ、その先のライオネルと心を通わせていくシーンにはじんわり嬉しくなります。オーストラリアからの移民で、型破りで、専門教育を受けたこともなく、資格もないけど、経験に裏打ちされた知識を持ったライオネルは、伝統と格式、権威と肩書きの象徴である王家とは対極にあります。そんなライオネルがジョージ6世にとって、いなくてはならない人になるのが興味深くもあり、だからこそ、とも思います。ライオネル演じたジェフリー・ラッシュの存在感のある演技も光っていました。 ところで、特に私の心に残ったシーン。それは、死してなお、あるいは退位してなお父と兄が自分を威圧すると感じているジョージ6世に、ライオネルが優しくも彼らしい茶目っ気のある目を彼に向けてこう言うシーンです。「全部ポケットから出したらいい。」 これは、ジョージ6世の吃音の原因ともいえる王室の呪縛のようなものを、賭けで得た1シリング硬貨になぞらえて言った言葉ですが、ジョージ6世が恐れているもの、それは自分が思うほど強大ではなくて、むしろ本当はちっぽけな心の異物とも言うべきものだから、ポイっと放り出せばいいんだよ、と。このセリフは心に残りました。ああそうか、いつの間にかポケットに入ってた石ころのような心の異物、ポケットから出しちゃえばいいんだな、と。
  
 

 
 



【スポンサーリンク】



allcinema SELECTION

allcinema SELECTION